
テキサス州 自動運転車の新しい許可制度が2025年9月1日から施行され、完全自動運転車(レベル4/5)の商用運行に州の許可取得が必須となりました。この規制強化により、テスラのロボタクシーをはじめとする自動運転サービス事業者は、緊急対応計画の提出や車両要件の適合など、新たな要件をクリアする必要があります。
この記事は最新の州公式資料・主要メディアをもとに作成していますが、最終判断は各州の公式発表・現地の法令をご確認ください(法規解説は一般情報であり、法律アドバイスではありません)。
テキサス州 自動運転規制の要点(先にまとめ)
- テキサス州では9月1日から、完全自動運転車(レベル4/5)で商用運行する場合、州の「許可(Authorization)」が必須に。さらに緊急対応プロトコルの提出(救急・消防・警察がどう対処するかの手順)などが新要件として追加されました。該当内容はSB 2807で規定。テスラのロボタクシー・パイロットにも関わります。 (capitol.texas.gov, Engadget, Reuters)
- テスラのロボタクシー(オースティン)は6月から小規模運行テストを開始、8月には州のライドシェア許可(TNC/ライドシェア枠)を取得したと報じられています。新制度下での商用運行へ一歩前進。 (Reuters, Insurance Journal)
- サウスカロライナ州は全面ハンズフリー法を9月1日に施行。運転中の手に持つ操作の全面禁止が明確化されました。 (scdps.sc.gov, https://www.live5news.com)
- オハイオ州は9/30から18~20歳の運転免許取得要件を強化(学科24時間+実技8時間+同乗練習50時間)。若年事故対策の一環です。 (otso.ohio.gov, WOSU Public Media)
- フロリダ州ドーラル市はスクールゾーン速度違反の自動取締りカメラを導入。8/14〜9/14は警告期間で、9/14以降は100ドル罰金。 (cityofdoral.com, wplg, wsvn.com)
- コネチカット州シェルトン市はAI搭載のスクールバス「ストップアーム」カメラを導入。8/26〜9/29は警告期間、9/29から最低$250の民事罰へ。 (CT Insider, New Haven Register)
- テキサスの「Move Over / Slow Down」法は広範な対象拡大・厳罰化が周知され、初回でも最大$1,250、重過失で$4,000+刑事罰の可能性。9/1に改正項目が数多く施行されています。 (テキサス交通局, FOX 4 News Dallas-Fort Worth)
背景:なぜ今「9月1日」なのか?
米国では州法の多くが新学期・下半期の始まりに合わせて9/1施行になる慣例があり、交通・安全・教育などの分野で一斉改正が走りがちです。2025年は自動運転・分散型ライドシェア・学校安全(スクールゾーン/バス)・スマホ使用規制といった“人×機械×公共空間”の交差点にあるテーマが一段とアップデートされました。
テキサス州 自動運転車のSB 2807による「許可制+緊急時手順」新制度
テキサスは2017年から市(自治体)によるAV規制を禁止しており、従来は比較的「規制が薄い州」の代表格でした。2025年のSB 2807は、その上に「州の許可制度」を新設し、“無人での商用運行”に踏み出す事業者へ一定のゲートを設けます。ポイントは次のとおり。
1) テキサス州 自動運転の無人・商用運行は州のAuthorization(許可)が必須
- 人が乗らない状態で貨物・旅客を商用で運ぶ場合、テキサスDMV(交通局)に申請してユニークな運行番号を付与される必要があります。許可は有効期限なし(ただし違反・危険認定で即時停止/取消あり)。 (capitol.texas.gov)
2) 緊急対応計画(First Responder Plan)の提出義務
- DPS(州公安局)に対して、救急・消防・警察など緊急サービスが車両にどう対処するかの具体的な手順を提出。
例)フリートサポート担当との連絡手段/安全な路肩退避・レッカー手順/ADS(自動運転)稼働中の識別方法など。 (capitol.texas.gov)
3) 車両側の必須条件(抜粋)
- 記録装置の搭載(メーカー装着)
- Minimal Risk Condition(システム異常時の安全停止)に移行できること
- 州法・連邦FMVSSへの適合、登録・保険(or自己保険)
- 衝突時の義務は人間運転車同様に事故法(Chapter 550)順守。 (capitol.texas.gov)
4) 監督官庁の権限
- 危険と判断すれば、許可の停止/取消・条件付与が可能。証拠提示と是正期間付与→未是正なら措置、という行政プロセスが定義されました。 (capitol.texas.gov)
5) 施行とルールメイキング
- 9/1施行に合わせ、DMVの新章(Chapter 220)がSB 2807実装ルールとして公開。運用細則の整備が続きます。 (txdmv.gov)
参考:SB 2807の成立・背景や内容はReutersやEngadgetでも報じられ、「都市が規制できない」従来枠に「州が許可で介入」する構図へのシフトが明確になりました。 (Reuters, Engadget)
テキサス州 自動運転規制下でのテスラロボタクシーの展開
- 6月下旬からオースティンで小規模パイロットを開始し、8月に州のライドシェア認可を取得したと複数メディアが報道。新許可制のもとでの運行拡大を見据えた動きです。 (Reuters, Insurance Journal)
- SB 2807の枠組みでは「無人×商用」で走る場合にAuthorization必須。安全ドライバーを置く“監督付き”段階と“完全無人”段階で、求められる許可・計画の重さが変わる点が重要です(施策は段階的に移行しやすい)。 (capitol.texas.gov)
関連読み物(モグモブログ):
● テスラ FSD 日本|Dojo解散でも加速する自動運転展開(北米・日本の規制動向の整理) (モグモブログ)
● テスラ×サムスン 165億ドルAIチップ契約とFSD展望(テキサス州工場・チップ供給の話題も) (モグモブログ)
テキサス州 自動運転規制の詳細については、テキサス州 自動運転許可制度の完全ガイドもご覧ください。
図解:テキサス州 自動運転「無人・商用」運行の許可取得フロー(SB 2807)
flowchart LR classDef k fill:#11233e,stroke:#4dabf7,color:#dbeafe,rx:8,ry:8,stroke-width:2px; company[事業者\n(ロボタクシー運行)]:::k -->|申請| dmv[Texas DMV\n許可審査] company -->|提出| dps_plan[DPS提出\n緊急対応計画] company -->|声明| vehicle_require[車両適合\n(記録装置/保険\nFMVSS/MRC達成)] dmv -->|要件充足| auth_issue[運行番号の発行\n(Authorization)] auth_issue -->|無期限/更新義務| operate[無人・商用運行\n開始] dmv -.->|不備/危険| sanction[停止/取消/制限\n(是正→未是正で発動)] operate -.->|事故/違反| sanction
凡例:FMVSS=連邦自動車安全基準、MRC=Minimal Risk Condition(安全停止)
(根拠:SB 2807の条項〈許可・計画提出・車両要件・停止/取消権限〉) (capitol.texas.gov)
図解:テキサス州 自動運転車の緊急時対応(SB 2807が要求する計画の骨子)
sequenceDiagram participant FR as First Responder participant AV as AV車両 participant FSS as Fleet Support FR->>AV: 停止/退避の要請 AV-->>FR: |ADS状態/識別方法| 表示 FR->>FSS: |緊急連絡| 通信(計画で定義) FSS-->>FR: |退避/レッカー| 手順案内 FR->>AV: |現場対応| 安全確保 AV-->>FSS: |遠隔報告| 状況共有
(根拠:「緊急対応計画」に、連絡手段/安全な退避/ADS識別/危険情報などを含める旨) (capitol.texas.gov)
テキサス:「Move Over / Slow Down」も強化の波
テキサスでは、路肩で点灯中の公的/作業車両の横を通過する際、
- 可能なら車線を1本空ける、できない場合は
- 制限速度から20mph減速(25mph以下なら5mphまで)
…というルールをDPS/TxDOTが繰り返し周知。対象の拡大や高額罰金もあって、今年は連携取り締まりが強化されています。初回でも最大$1,250、重過失で$4,000+刑事罰の可能性がある点は見落としがち。 (テキサス交通局, FOX 4 News Dallas-Fort Worth)
他州でも「安全×自動化」まわりの更新が進行
サウスカロライナ:全面ハンズフリー法が施行(テキサス州 自動運転規制と並行する安全強化)
- 9/1発効。運転中に手で端末を保持/操作する行為を禁止。従来の「テキスト禁止」より適用範囲が広いのがポイント。州のDPS公式も案内。 (scdps.sc.gov)
オハイオ:若年運転の教育要件を引き上げ
- 9/30から、18〜20歳でも学科24h+実技8h+同乗50hが必要に。“18歳は最短で取れる”の例外が事実上なくなります。 (otso.ohio.gov, WTOL)
フロリダ(ドーラル市):スクールゾーン速度カメラ
- 8/14〜9/14は警告のみ、9/14以降は$100罰金。標識の掲出・稼働時間の明示を行い、学校登下校の時間帯に限定運用。 (cityofdoral.com)
コネチカット(シェルトン市):スクールバスAIカメラ
- ストップアーム違反(停止表示中の追い越し)をAIカメラで自動検知。警告期間→$250以上の民事罰へ。 BusPatrol導入拡大の一環。 (CT Insider)
生活者・事業者それぞれへの影響
テキサス在住の一般ドライバー
- 路肩で点灯中の車両=とりあえず1車線空ける or しっかり減速が鉄則。“作業車両の種類”が以前より広い点に注意。違反額が高いので、「あ、救急か工事か?」と思ったら即対応が安全。 (FOX 4 News Dallas-Fort Worth)
ロボタクシー事業者(テスラ含む)
- 安全ドライバー付きの段階は比較的移行しやすい一方、完全無人×商用へ進むには許可+緊急対応計画+技術適合の三点セットが必須。
- 許可の停止/取消権限が明記されたことで、運行データの品質・事故時の是正プロセスがより重要に。“走らせる前に整えるべき書類と運用”が増えます。 (capitol.texas.gov)
スクールゾーン/バス関連の自動取締り
- 警告期間を経て本罰金に入る事例(ドーラル/シェルトン)が増加。AIカメラ+明確な標識+限定時間運用で、“悪質”ではなく”うっかり”も捕捉されやすい。通学路はいったん速度計を見るクセを。 (cityofdoral.com, CT Insider)
編集部の考察:テキサス州 自動運転規制の”緩い→賢い”への転換
テキサスは「自治体規制NG」というボトムの乱立を避ける設計で、これまでは業界フレンドリーに見られてきました。SB 2807はその”広い受け皿”の上に、州が最小限の”入口管理と緊急対応”を重ねるアプローチです。つまり、
- ①入口=許可で担保(最低限の技術・保険・記録装置+緊急時の動線)
- ②継続=危険なら即是正/停止(運行結果に基づく”出入口のバランス”)
という“賢い規制”への転換。ベンチャーの参入余地は残しつつ、有事のバトン(警察・消防・救急)が握りやすくなりました。 (Reuters)
ここがロボタクシーの”初期の肝”
無人運行で最も困るのは”現場で誰に連絡を取るのか”です。Fleet Support(遠隔担当)の存在と連絡経路を法定するのは、市民受容性を一気に押し上げます。「危ないとき、誰が責任を持って動くのか」への答えが制度の中に見えるからです。 (capitol.texas.gov)
具体的チェックリスト(事業者向け)
- [ ] Authorization取得(無人×商用のとき)
- [ ] DPS提出の緊急対応計画(連絡/退避/識別/危険情報)
- [ ] 記録装置(メーカー装着)
- [ ] MRC(安全停止)の達成
- [ ] FMVSS・州法適合/登録・保険
- [ ] 運行番号の情報更新(変更30日以内)
- [ ] 是正要求に対する迅速な対応(未是正で停止/取消) (capitol.texas.gov)
テキサス州 自動運転規制に関するよくある疑問(Q&A)
Q1:安全ドライバーが乗っていれば、許可は不要?
A:“無人×商用”が許可対象。監督付きの段階では、SB 2807のAuthorization条項に直接は該当しない(ただし他の適用法やTNC/ライドシェア制度の要件は別途あり)。 (capitol.texas.gov)
Q2:テスラのロボタクシーはいつ完全無人になる?
A:制度面の入口は整備されましたが、技術・事故統計・受容性の3点がカギ。州許可の取得+実績蓄積を経て、段階的に地理・時間帯を広げるのが現実的です。 (Reuters)
Q3:スマホ”ながら運転”の全米統一ルールは?
A:州ごとに異なります。今回のSCの全面ハンズフリー化は、全米での強化潮流の一例。居住地だけでなく運転で跨ぐ州のルールも事前確認を。 (scdps.sc.gov)
安全運転の超実用Tips(今日から使える)
- 「救急/工事が見えたらミラー→ウインカー→1車線空ける(無理なら強めに減速)」を習慣化。
- スクールゾーンは速度標識の”時間”も見る(市販ナビ/スマホのスクールゾーン通知設定も有効)。
- 「スマホはマウント固定+音声操作」へ。サウスカロライナのような全面ハンズフリー州が増加中。 (scdps.sc.gov)
関連記事(モグモブログ内)
- テスラ FSD 日本|Dojo解散でも加速する自動運転展開(北米・日本の制度比較と導入ロードマップ) (モグモブログ)
- テスラ×サムスン165億ドルAIチップ契約|日本のFSD展望(テキサス・テイラー工場/供給網の話) (モグモブログ)
- TSS 4.0(トヨタ)解説:レベル2支援の進化と”自動運転っぽさ”の境界もどうぞ (モグモブログ)
まとめ:テキサス州 自動運転の新時代へ
テキサス州 自動運転車の新しい許可制度は、技術革新と安全性のバランスを取る重要な一歩となりました。今後の展開については、テキサス州 自動運転規制の最新動向でも詳しく解説しています。また、自動運転技術の日本展開については、テスラFSD日本展開の最新情報もご参照ください。
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参考資料・出典
- Texas SB 2807 本文(Enrolled版PDF):許可制・緊急対応計画・記録装置/MRC・違反取扱い等の根拠条文。 (capitol.texas.gov)
- Reuters:テスラのロボタクシー・テスト開始と同法成立の関係。 (Reuters)
- Engadget:9/1からの自動運転許可制の解説。 (Engadget)
- Texas DMV(Rulemaking):SB 2807実装の新章(Chapter 220)告知。 (txdmv.gov)
- Insurance Journal:テスラの州ライドシェア許可。 (Insurance Journal)
- TxDOT/DPS/FOX4:Move Over / Slow Down の要件・罰金周知・厳罰化の文脈。 (テキサス交通局, FOX 4 News Dallas-Fort Worth)
- South Carolina DPS/ローカル局:ハンズフリー法の施行。 (scdps.sc.gov, https://www.live5news.com)
- Ohio Traffic Safety Office/ローカル局:18~20歳の免許取得要件強化。 (otso.ohio.gov, WTOL)
- City of Doral(公式)/ローカル報道:スクールゾーン速度カメラ、警告→罰金。 (cityofdoral.com, wplg)
- CTInsider/Hearst:AIストップアームカメラ導入、警告→$250罰金。 (CT Insider)
付録:テキサス州 自動運転車のSB 2807で”実際にやること”早見表(要約)
| 項目 | 事業者が準備するもの | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 許可(Authorization) | DMVへ申請、運行番号取得 | 無人×商用のみ必須、期限なし(違反で停止/取消) (capitol.texas.gov) |
| 緊急対応計画 | DPSへ提出:連絡網/退避/識別/危険情報 | First Responderが動ける具体性が必要 (capitol.texas.gov) |
| 車両要件 | 記録装置/MRC/FM VSS/登録/保険 | メーカー装着の記録装置などが明記 (capitol.texas.gov) |
| 是正・執行 | 危険認定→是正要求→未是正で停止等 | 行政プロセスが条文化 (capitol.texas.gov) |
編集後記(ちょっと毒舌)
テキサスの今回の動きは、“スピードは落とさない、が、手順は増やす”という意味でかなり実務的。「責任の鎖(Chain of Responsibility)」が見える制度は市民の信頼につながります。ロボタクシーを当たり前の移動にするために必要なのは、派手なデモより地味な”連絡先と手順書”なんですよね。 (capitol.texas.gov)
(ご注意)本記事は公開時点の情報に基づく一般解説です。運用や罰金の金額・開始日などは地域や条項により異なります。必ず各州・各市の公式最新情報をご確認ください。






