
EV税控除 終了が2025年9月30日に迫る中、IRS(米内国歳入庁)が重要な定義変更を発表しました。これにより、9月30日までに契約と支払いを完了すれば、10月以降の納車でも最大7,500ドルの税控除が受けられることが明確になりました。
2025年8月21日、IRS(米内国歳入庁)がFAQを更新。「取得(acquired)」の定義を”拘束力のある書面契約(binding written contract)+支払い”の成立日にすると明確化しました。これにより9月30日までに契約と入金(名目額の頭金または下取り)を終えていれば、10月以降に納車(=placed in service)でもクレジット対象になります。(内国歳入庁)
EV税控除 終了|TL;DR(まず要点だけ)
- いつまで? EV税控除(新車§30D/中古§25E/商用§45W)は2025年9月30日までに”取得”が必要。“取得”=「拘束力ある書面契約+支払い」の成立日に変更。(内国歳入庁)
- 納車は後でもOK:契約+支払いが9/30までなら、10月以降の納車時にクレジットを申請(または販売店へ移転)できます。(内国歳入庁)
- 販売店実務:クレジットの移転(その場充当)は「引渡し時(time of sale)」に行う運用は維持。IRSのECO(Energy Credits Online)は新規登録は9/30まで、既存登録者はその後も報告等が限定的に継続。(内国歳入庁)
- 市場反応:発表当日、テスラ株は一時+6.2%。ただしパウエル議長の「利下げ示唆」による広範な株高効果も重なっています。(インベスターズ.com, Reuters)
- 法律の背景:OBBB(One Big Beautiful Bill Act)でEV関連クレジットの早期終了が決まり、「9/30/2025以降に”取得”」は対象外に。今回のFAQで“取得”の判定が前倒しできるようになった格好。(内国歳入庁)
この記事の狙い
- 購入者:“9/30までに何を済ませれば良いか”を、法令ベースで迷いなく判断できるようにする
- 販売店・営業:ECO・レポート運用を誤らず、取消・訂正時の地雷を避ける
- 投資家:短期の「駆け込み需要/株価」の見立てと、2026年以降のEV販売に与える構造的影響を俯瞰
1. EV税控除 終了前の重要変更——”取得日”の定義が契約+支払い日に
1-1. 変更のコア
IRSのOBBB対応FAQ(FS-2025-05)が示した新解釈がこちら。
- 対象:§25E(中古)/§30D(新車)/§45W(商用)
- 「取得(acquired)」=「拘束力のある書面契約を締結し、支払いが行われた日」
- 支払いには名目額の頭金や下取りも含む
- 取得が9/30までに成立していれば、納車がその後でも、納車時にクレジット請求(または移転)可能。(内国歳入庁)
つまり、“契約+入金さえ9/30まで”に完了していれば、納車(=placed in service)は期日後でもOK。これが今回の最大の実務インパクトです。(内国歳入庁)
1-2. EV税控除の「早期終了」とは?
2025年7月4日署名のOBBBで、EV関連の税額控除は前倒しで終了。新車§30D・中古§25E・商用§45Wは「9/30/2025以降に”取得”」する車両は対象外に。IRSはFAQで終了日と”取得”の定義を併記しました。(内国歳入庁)
2. 用語の整理:acquired vs placed in service
- acquired(取得):契約+支払いが成立した日(今回のFAQで明確化)。(内国歳入庁)
- placed in service(使用開始):実務上の納車・引渡しのこと。クレジットの移転(その場値引き)は”time of sale=引渡し時”に行うのが原則。(内国歳入庁)
結論:9/30までに取得し、10月以降に納車でも申請は可能。ただし移転(ポイントオブセール値引き)は納車時に選択します。(内国歳入庁)
3. EV税控除 終了|対象範囲と終了日を「法令ベース」で確認
- 新車(§30D):9/30/2025までに取得。以降の取得は対象外。(内国歳入庁)
- 中古(§25E):同上。最大4,000ドル(価格や所得要件あり)。(内国歳入庁)
- 商用(§45W):同上。事業者向けのクレジット。(内国歳入庁)
- ECOポータル:新規登録は9/30まで。既存登録者は期日後も限定的に報告・更新が継続。(内国歳入庁)
消費者向け解説でも「9/30後は新規取得不可」の整理が並びます(例:NerdWallet/H&R Block/TurboTax)。ただし今回の”取得=契約+入金”明確化がニュースだった点は、IRS一次情報のFAQに依ります。(NerdWallet, H&R Block Tax preparation company, TurboTax)
4. EV税控除 9月30日までの「やることリスト」——個人購買の実務
4-1. EV税控除 終了期限前(〜9/30)に必須
- 拘束力のある書面契約を締結
- 支払いを実行(名目額の頭金 or 下取りでも可)
- 契約書に車種・価格(MSRP上限)、あなたの所得要件適合前提の条項が入っているか確認
- VINが確定していない場合の扱い(後述)も販売店と握っておく
→ 以上が整えば「取得」成立。納車は後日で可。(内国歳入庁)
4-2. 納車時(time of sale)
- ポイントオブセール値引き(クレジット移転)を使うなら、このタイミングで選択。販売店はECOにTime-of-Saleレポートを提出。(内国歳入庁)
EV税控除 終了に関する詳細な解説については、EV税控除完全ガイド2025年版もご参照ください。
5. 「拘束力のある契約」って何?——落とし穴と実務例
- 予約金が全額返金可の単なる予約フォームは、一般に”拘束力が弱い”と解されがち。FAQは「written binding contract+payment」を明記。支払いは名目額の頭金や下取りでも可ですが、契約本文が解除自由で実質拘束力なしだと争点になり得ます。(内国歳入庁)
- VIN変更/車種変更:MSRP上限や原産地要件の違いで適格性が変化し得ます。契約に同等車両への代替条項がある場合でも、税務上の”同一性”が問題にならないよう、販売店側のレポート整合を必ず確認。ECOでの取消・再登録の運用も踏まえましょう。(内国歳入庁)
6. ディーラー実務の要点(ECO・レポーティング)
- 移転選択は引渡し時:Reg. 1.30D-5等の運用に基づき、クレジット移転は「time of sale」が原則。取得(契約+入金)の段階ではまだ移転しない。(内国歳入庁)
- ECO新規登録は9/30まで/既存は限定継続:新規ディーラー登録停止後も、既存登録者の報告・取消・修正は一定期間継続。駆け込み月の取消・VIN差替えに備え、運用手順を社内共有しておく。(内国歳入庁)
7. ケーススタディ(典型6パターン)
9/30までに契約+頭金→10/15納車
→ OK。取得は期限内。納車時に移転選択 or 翌年の確定申告で申請。(内国歳入庁)9/30に予約金(返金可)だけ→10/10契約+頭金→10/30納車
→ NG。取得は10/10(期限後)判定。対象外の恐れ。予約=取得ではない点に注意。(内国歳入庁)9/29 契約+下取り→10/20 納車
→ OK。下取りも支払いに含まれる。(内国歳入庁)9/30 契約+頭金→10/5 別グレードに変更
→ 要再判定。MSRP要件や電池要件に影響が出る可能性。販売店とECO報告の修正を要確認。(内国歳入庁)個人→中古§25E(9/30取得→11/1納車)
→ OK。中古も同じ”取得定義”。所得・価格要件は別途確認。(内国歳入庁)法人→商用§45W(9/20契約+頭金→10/15納車)
→ OK。商用も同じロジック。リース・耐用年数・事業用途比率等の検討は別途。(内国歳入庁)
EV税控除の活用方法について、さらに詳しく知りたい方はEV購入戦略|税控除を最大限活用する方法をご覧ください。
8. 図で理解する「期限前の勝ち筋」
gantt dateFormat YYYY-MM-DD title EV税控除/重要日付タイムライン section 法改正と運用 OBBB成立 :a1, 2025-07-04, 1d IRS FAQ公開 :a2, 2025-08-21, 1d 取得(契約+支払い)の締切 :a3, 2025-09-30, 1d 納車(placed_in_service)で申請 :after a3, 2025-10-01, 60d section ディーラー実務 ECO新規登録終了 :b1, 2025-09-30, 1d ECO(既存)の報告継続 :b2, 2025-10-01, 90d
ポイント:9/30までに”取得”をロックすること。納車はその後でOK。ECOの新規登録は締切、既存は限定継続。(内国歳入庁)
9. 購入者のための「迷わない」意思決定フロー
flowchart LR classDef k fill:#11233e,stroke:#4dabf7,color:#dbeafe,rx:8,ry:8,stroke-width:2px; start[買う意思あり?]:::k -->|はい| c1[9/30までに\n契約を結べる?]:::k start -->|いいえ| end0[様子見/試乗]:::k c1 -->|はい| c2[契約書は拘束力あり?\n(販売店と確認)]:::k c1 -->|いいえ| end1[対象外になる恐れ]:::k c2 -->|はい| c3[頭金 or 下取りで\n支払い実行]:::k c2 -->|いいえ| warn[予約だけは不可\n契約条件を調整]:::k c3 -->|完了| ok[取得をロック\n納車時に移転選択]:::k
10. ディーラー×購入者のやり取り(移転のタイミング)
sequenceDiagram participant U as User participant D as Dealer participant ECO as ECO U->>D: 9/30までに契約+支払い D-->>U: 取得成立(期限内) U->>D: 納車当日\n移転選択の意思表示 D->>ECO: Time-of-Sale報告 ECO-->>D: 受付 D-->>U: その場値引き反映
移転は納車時。契約時ではない。ECO新規登録は9/30まで、既存は限定的に継続。(内国歳入庁)
11. よくある質問(FAQ)
Q1. 「名目額の頭金」とは?
A. FAQの文言上、支払い成立の要件。具体額の下限は明記なしですが、“名目額”とされる以上、実質ゼロに等しい予約金ではリスク。返金可/不可も拘束力の判断材料になり得ます。(内国歳入庁)
Q2. 9/30にディーラーが休み…オンライン契約は有効?
A. 要件は”書面契約”。電子契約プラットフォームで法的拘束力が担保され、支払いも成立すればロジック上は○。運用は販売店規約と州法に従います。根拠条文の一次情報はIRS FAQを参照。(内国歳入庁)
Q3. クレジットの”その場値引き”は契約時にできる?
A. 不可。移転は「time of sale=引渡し時」。契約=取得と移転は別フェーズ。(内国歳入庁)
Q4. ECOの”新規登録停止”後も報告はできる?
A. 既存登録ディーラーは限定的に継続(取消・修正等)。新規登録は9/30まで。(内国歳入庁)
Q5. テスラはどう案内している?
A. 公式ページでも9/30終了を明示。今回FAQにより「契約+入金で取得日をロック」という余地が生まれた理解。納車スケジュールは販売側と密に調整を。(テスラ, 内国歳入庁)
12. 市場への影響:短期”駆け込み”と株価の読み筋
- 駆け込み需要:「9/30契約→10月納車」の販促が現実味。在庫のある量販モデルから販路での値引き強化が入りやすい。
- 株価:テスラ株は一時+6.2%。ただし同日のパウエル発言(利下げ示唆)が広範な株高を押し上げた側面が大きく、純粋に税制ニュースだけの上げと断定はできません。(インベスターズ.com, Reuters)
投資家メモ:金利低下はEVの月々支払いを軽くするため、需要の弾力性に効きやすい。一方で2026年以降は連邦クレジット不在を前提とした価格戦略・コスト構造の再設計が必須に。
13. 交渉テンプレ(コピーして使ってOK)
- 契約書文言:「本契約は双方に拘束力を有し、解除権は限定される旨」「返金条件の明確化」
- 支払い:「頭金受領額の明記」「下取り受領の記載」
- 納車:「引渡し予定日」「VIN確定時の代替条項(適格性不変を条件)」
- ECO:「Time-of-Saleレポートの提出予定」「取消・修正時の手順合意」
14. これから契約する人のチェックリスト(保存版)
- 9/30までに拘束力のある書面契約
- 同日までに支払い(頭金 or 下取り)
- VIN/MSRP要件の確認メモ
- 納車時に移転(ポイントオブセール値引き)を選ぶかどうか
- ECOの処理とレシート保管(販売店発行)
- 要件変更・取消時の運用ルールを販売店と合意
15. 追加の図解:対象判定のミニ・ロジック
flowchart LR s[9/30までに\n「契約+支払い」?] -->|はい| t[取得OK\n(期限内)] s -->|いいえ| n[対象外の恐れ] t --> u[納車時に申請/移転]
16. 日本の読者向け補足(渡米購入や法人導入の視点)
- 米国居住・課税が前提の制度です。日本居住者が個人的に米国内で登録・利用するケースは居住・税法上の論点が増えます。
- 法人(米子会社)導入は§45Wの検討余地。事業用途比率や減価償却との整合を税理士と要確認。(内国歳入庁)
17. 失敗しない”駆け込み”の動き方(実戦ガイド)
- 今すぐ見積り:納車待ちでも在庫検索→契約書の拘束力と頭金条件を詰める
- 価格戦略:移転(その場値引き)込みの総支払いで交渉
- 在庫の当たり方:量販トリム/台数多い色から狙う
- 書面と証跡:契約・入金のタイムスタンプを揃える(電子契約ならログ保全)
- リスク対策:VIN変更・キャンセル規定の条文化
18. 関連リンク(サイト内/参考)
- モグモブログ内:テスラ日本価格497万円から|2025年補助金90万円で最安購入(日本の補助金活用や為替前提の比較に役立ちます)
https://mo-gmo.com/tesla-japan-price-2025/ - IRS一次情報:OBBB対応FAQ(FS-2025-05)、終了日と”取得”定義、ECO運用はこちら。(内国歳入庁)
- IRS OBBBポータル:OBBB特設ページ(エネルギー系優遇の早期終了まとめ)。(内国歳入庁)
- テスラ公式:Federal Tax Credit Ends September 30。(テスラ)
19. EV税控除 終了:これが”実質延長”の正体
- 終了日は動いていない。動いたのは”取得”の定義。9/30までに契約+支払いで権利をロックし、納車後に請求できる。
- 販売現場は取消・VIN変更の運用とECOの締切に注意。
- 投資目線では駆け込み+金利低下期待が四半期末の出荷積み上げを後押し。ただし2026年以降は連邦クレジットなし前提での真価勝負へ。(インベスターズ.com, Reuters, 内国歳入庁)
20. 買う前に”資金計画”を一発で整えるなら
スポンサー:最安級の金利比較「クラウドローン」
ディーラー提案のローンだけで決めるのはもったいない。複数社の金利を横断比較して、月々の支払い総額を一番軽くできます。
👉 クラウドローン: https://ac.crowdloan.jp/2326yb0bf6n70n33/cl/?bId=7c669cLe
参考・出典(主要)
- IRS:OBBB対応FAQ(FS-2025-05)——終了日、“取得=契約+支払い”、移転がtime of sale、ECO運用の明示。本文各所の根拠。(内国歳入庁)
- IRS:OBBB特設ページ(制度の早期終了サマリー)。(内国歳入庁)
- テスラ公式:「9/30終了」の利用者向け告知。(テスラ)
- NerdWallet/H&R Block/TurboTax:消費者向けの期日・移転解説。本文の補足理解に有用。(NerdWallet, H&R Block Tax preparation company, TurboTax)
- 相場反応:テスラ株+6.2%(当日の報道)とパウエル発言(利下げ示唆)による株高。(インベスターズ.com, Reuters)
(付録)契約・入金の証跡を残す、実務のチェックポイント
- 電子契約:署名ログ/IP/時刻/改ざん検知
- 支払い:カード承認記録/口座振替の入金日/POSレシート
- 下取り:査定書に受領日・車両情報・価格を明記
- 社内承認(販売店):ECO操作の責任者・代行者、取消・差替手順のフロー整備
まとめ一行
「9/30までに”契約+入金”で”取得日をロック”、納車は後でOK」——これが今回の勝ち筋です。迷ったら一次情報(IRS FAQ)をもう一度どうぞ。(内国歳入庁)
※本記事は一般的情報の提供であり、特定の税務アドバイスではありません。最終判断は税理士・会計士等の専門家にご相談ください。